【サッカー】静岡県東部初のJリーグクラブ(下)スタジアム要件の壁


アスルクラロ沼津のJ3参入に向けて10月下旬、ホームスタジアムとする県営の愛鷹広域公園多目的競技場(沼津市)で行われた現地ヒアリング。Jリーグの木下由美子理事(55)が強調した。
 「J3で勢いがあるクラブは市や県とのタッグが強力で、一緒になってチーム力を上げている」
 ホームタウンの沼津市は2016年度、広告料として沼津に100万円を補助し、クラブを応援するのぼり旗を市内に掲出する支援を展開している。沼津との共通ロゴマークの製作や、広報誌などを通した情報発信にも積極的だ。
 J2、J1とさらに上のカテゴリーを目指すのにスタジアム要件の壁は高い。行政による一層の支援は欠かせない要素の一つだ。
 J2に昇格するには固定の観客席1万席が、J1では1万5千席が条件となる。愛鷹の固定席は5千。バックスタンド側は芝生席で、固定席に改修しなければ昇格に必要なJ2ライセンスの取得すらできない。
 行政の支援でスタジアム要件の壁を乗り越えたクラブがある。10年にJ2に参入したギラヴァンツ北九州。当初から収容人数や老朽化の問題を抱える北九州市立本城陸上競技場に変わり、新スタジアムの建設要望に市が理解を示し、建設方針を打ち出した。反対の声もあったが、J1昇格プレーオフを戦える5位に付けるなど「クラブが成績を伸ばすごとに市民の機運は高まり、建設を後押しした」(同市建築課)。
 J2町田ゼルビアも10年、JFLから当時のJ2参入圏内にいたがスタジアム要件に阻まれた。この事態に町田市は全面支援を表明し、スタジアム改修に取り組んだ。
 愛鷹を管理する県は「改修を含めてまだ何も検討は始まっていない」(公園緑地課)としている。沼津の山本浩義代表(55)は「成績を残しても上に行けないと選手が報われない」と訴える。行政のさらなる協力を得てスタジアム問題に解決の道を見いだしていく考えだ。

http://www.at-s.com/sports/article/shizuoka/azul_claro/303217.html