【東京五輪】豊洲延期 五輪選手村に余波 晴海通り 騒音・渋滞懸念


 東京都の築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転延期が長期化するのに伴い、都は来年一月に着工する二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの選手村(中央区)の施工計画の見直しに着手した。トラックなど工事車両の主要ルートに想定していた「環状2号」の開通時期が見通せなくなったためだ。代わるルートは、銀座から晴海に抜ける「晴海通り」などに限られる上、騒音や渋滞が懸念され、都は対応に苦慮している。 (中沢誠)

 一日に最大で二千五百三十八台-。中央区晴海に建設される五輪・パラリンピックの選手村の工事車両の数だ。

 選手村の環境影響評価(アセスメント)によると、工事車両は来年三月から急増。ピーク時の来年十一月には、搬出と搬入の台数が一日合計で二千五百三十八台になると想定する。

 その七割、約千八百台が通る予定だったのが環状2号。
 豊洲市場の地下に盛り土がなかった問題の発覚前、都は今月七日に市場を移転し、年内に環2の築地-豊洲間を暫定開通させ、来年一月の選手村の着工に間に合わせる予定だった。

 築地市場内でトンネルとなる計画で、建設に時間がかかるため、市場内に仮設の迂回路(うかいろ)を造る算段だった。
 しかし、小池百合子知事が今月十八日、移転時期を二〇一七年冬以降と表明したことで、迂回路も選手村の建設に間に合わないことが確実に。選手村完成まで環2が使えない可能性すら出てきた。

 大量の工事車両が振り分けられる可能性があるのが晴海通り。環2が暫定開通する当初計画でも、中央区勝どき地区では一日最大二百五十二台が通るはずだったが、さらに環境悪化や渋滞が懸念される。現在でも同地区の日中の騒音レベルは、六七・四~六九・九デシベル。環境基準の上限(七〇デシベル)ギリギリだ。

 都の小島俊之・選手村整備調整担当課長は「工事車両の振り分け先を検討し、騒音や振動の環境予測もやり直している」と説明。渋滞対策の必要性も認め、着工前にあらためて地元説明会も開くという。「住民に納得してもらえるよう対策を講じる」と話している。

 <選手村> 三井不動産レジデンシャルなど11社でつくる企業グループが開発する。選手や大会関係者らの宿泊棟などは来年1月着工、19年12月めどで完成を目指す。大会後に改修したり、新たに50階建ての高層棟を建てたりしてマンションとして販売。最大1万2000人が住む街に生まれ変わる。


2016年11月20日 朝刊
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