【サッカー】<選手権出場校>静岡・藤枝明誠|「超攻撃的」スタイルで王国復活を目指す


一度は逆転されながらも後半に遠野の2ゴールで逆転。

 再逆転で自慢の攻撃力を示した。第95回全国高校選手権の静岡県大会は19日にエコパスタジアムで決勝戦を行ない、藤枝明誠が3-2で浜松開誠館を下して7年ぶり2回目の全国大会出場を決めた。
 
 藤枝明誠は今季、「超攻撃的」と謳うスタイルに自信を持っている。試合の立ち上がりから、足もとで小刻みにボールを動かして相手を惑わせながら、ドリブルやショートコンビネーションを織り交ぜる多彩な攻撃を見せた。
 
 ただし、セットプレーで先制した後は前半終盤に追いつかれ、後半は浜松開誠館が縦、斜めに飛ばして来るロングパスで試合のペースを奪われて逆転された。課題も残ったが、最後は「超攻撃的」の看板に恥じないアタックを再び見せて勝利をもぎ取った。
 
 前半にPKを止めて隠れた殊勲者となったGK秋山匠也(3年)が「相手が逆転した時に、少し引くと思った。それならもう一度攻撃のリズムを作れると思った」と話したとおり、逆転を許したことがきっかけになり、試合の立ち上がりに見せていた流動的で小気味良い攻撃が復活。終盤に3トップの一角を担ったFW遠野大弥(3年)が2得点を奪った。
 
 後半28分、遠野は左サイドからカットイン。すると逆サイドから流れて来たトップ下のMF山田晃平(3年)とスイッチ。遠野は、そのまま右へ流れ、ボールは左サイドへ展開された。相手守備網が混乱する中、攻撃的ボランチのMF丹羽一陽(3年)が左から中央へボールを戻し、FW藤本一輝(3年)が、右サイドへ展開して完全に相手を振り回す。ラストパスは右へ流れたが、遠野が腰のひねりを生かした強烈なシュートを放ち、枠を外れたが相手に当たってゴールネットを揺らした。
 
 さらに、試合終了4分前、遠野が再び左サイドでボールを受け、今度は単独ドリブルでカットイン。シュートモーションで相手の足を止めては前進して少しずつマークを引き離すと、最後は再び腰をひねってシュート。またもブロックはされたが、勢いは衰えずゴールを捉えた。緩急のある攻撃に複数の選手が絡んで相手を手玉に取るゴールは、圧巻だ。

「今年は個性豊かな集団で多彩な攻撃ができる。それを全国で見せたい」

 藤枝明誠は、ショートパスをつなぎながら、ドリブル突破やワンツーを織り交ぜる攻撃的なスタイルが伝統だが、今季は攻撃陣に特に個性の強い選手が集まり、魅力的なアタックを体現している。最前線の藤本はサガン鳥栖U-15出身で足もとの技術が高く、前を向けば選択肢は多彩。2得点の遠野は、小柄だが身体能力が高く、浮き球は特に得意だ。
 
 ボランチとトップ下を兼務するようなバランスを取る10番の丹羽は、キックの質が高く、隙あらば崩しのパスを繰り出す。藤本は「我の強い選手が多くて、最初はみんながそれぞれのイメージでしか動けなかったけど、夏のインターハイ予選で負けてから、連動している時に結果が出ているということをみんなが分かって来た」と夏以降に連係力が高まっている手応えを話した。
 
 かつて浦和でプレーした松本安司監督は「今年は、個の能力が高い。でも、まだ完成度は70~80パーセント」と満足していないが、全国大会でも十分に通用する攻撃力を持っていることは、この試合でも証明した。
 
 丹羽は「今年は個性豊かな集団で、多彩な攻撃ができる。それを全国で見せたい。静岡の代表になれたので、静岡の『王国復活』を目指して良い準備をして、全国優勝の目標を達成したい」と次なる目標を見据えた。超攻撃的サッカーで王国復活へ。藤枝明誠が2回目の全国出場で偉業に挑む。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161119-00020713-sdigestw-socc&p=2