【政治】安倍首相、トランプ氏と互いの「趣味」で信頼関係を構築へ - 岸氏、中曽根氏、小泉氏らの日米外交史


トランプ氏の真意を探るためにも、安倍首相と17日、ニューヨークで行なうトップ会談が世界の注目を集めそうだ。

安倍首相も14日、TPPの承認案などを審議する参院特別委員会で、
「貿易や安全保障を含め、さまざまな課題について率直に意見交換したい。突っ込んだ話をしながら信頼関係を作りたい」と語った。

 日米関係者も動き出した。安倍首相とトランプ氏の距離を縮めるため、将来の「ゴルフ外交」について調整を始めたという。
安倍首相とトランプ氏はともにゴルフが趣味であり、双方とも実現に向けて前向きだという。

 『トランプの真実』(実業之日本社)によると、トランプ氏はゴルフについて、以下のように語っている。

 「ゴルフはビジネスのためのスポーツだ。私はランチを食べながらでは絶対にまとまらなかった取引をゴルフのコースでまとめたことがある」
「ゴルフのコースには仲間意識がある。お互いのことをよく知り、パートナーになる」

 日米外交史を振り返ると、両国トップはさまざまな方法で人間関係を深め、信頼関係を構築している。

 安倍首相の祖父、岸信介氏は首相時代の1957年に訪米した際、ドワイト・アイゼンハワー大統領とゴルフを楽しみ、
一気に親密さを増した。この人間関係が、60年の日米安全保障条約改定につながった。

 中曽根康弘氏は首相時代に、当時のロナルド・レーガン大統領夫妻を、東京・奥多摩にある「日の出山荘」に招待し、
日本の自然と文化を紹介した。2人は「ロン」「ヤス」と呼び合い、日米蜜月関係を築いた。

小泉純一郎氏も首相時代、ジョージ・W・ブッシュ大統領(子)と趣味の「野球」をきっかけに信頼関係を深めた。
キャッチボールする2人の姿は世界中に配信された。ブッシュ氏は、小泉氏がエルビス・プレスリー好きだと知り、
大統領専用機エアフォースワンに同乗して、プレスリーの生家を案内した。

 安倍-トランプ会談が注目されるが、安倍首相は以前から、
ロシアのプーチン大統領や、トルコのエルドアン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領など、
こわもてで鳴らす各国首脳らと人間関係を築くのが、不思議とうまかった。

 官邸周辺は「各国首脳は当然、国益を背負って外交をしている。だが、最終的には人間と人間の信頼関係を築けるかどうかだ。
安倍首相が、プーチン氏やエルドアン氏らと個人的関係を深められたのは、
一緒にいて笑顔になれる、安倍首相の柔和な人間性というしかない」と語る。

 安倍首相は「ゴルフ外交」で、トランプ氏と打ち解けられるのか。
 実は、安倍首相とトランプ氏のラウンドは、岸、アイゼンハワー両氏が絆を強めた、
ワシントン郊外のバーニング・ツリー・カントリークラブが候補に挙がっているという。

 政治評論家の浅川博忠氏は「岸、アイゼンハワー両氏のゴルフ外交は、日米安保改定と、
その後の安定した日米関係の礎となった。安倍首相は祖父の岸氏を尊敬しており、
回顧録などを読んで、その形跡も参考にしたのではないか。
安倍、トランプ両氏のゴルフ外交も、今後の日米関係を深化させる、いい機会になってほしい」と語っている。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161116/frn1611161130002-n2.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161116/frn1611161130002-n3.htm