【日刊ゲンダイ】官邸ビクビク…プーチンがトランプと急接近で来日に暗雲 北方領土返還は絶望的[11/19]


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訪日が実現したとしても、内容の薄い首脳会談になりそう(C)AP

 12月15日のプーチン大統領の訪日は本当に実現するのか――と官邸周辺が懸念しているという。17日、ロシアのタス通信がプーチン訪日を改めて報じたが、日ロの経済協力のロシア側交渉窓口であるウリュカエフ経済発展相が、巨額収賄容疑で連邦捜査委員会に拘束・刑事訴追されたからだ。

「日本側は経済支援する見返りに北方領土問題での進展を目指してきましたが、経済交渉の“キーマン”がパクられてしまった。日ロ交渉そのものが暗礁に乗り上げかねない状況です。メドベージェフ首相がウリュカエフ氏の後任の担当者を任命しましたが、『積み重ねてきた信頼関係を一から再構築するには時間が足りない』と、ロシア側が訪日中止を言い出すのではないか、と官邸周辺はビクビクしています」(外交事情通)

 そもそも、プーチンが狙っているのは日本の経済協力だけだ。北方領土問題の進展には関心がない。実際、先月には「交渉の締結期限を決めるのは有害だ」と領土返還に否定的な発言をしている。

■北方領土返還は絶望

 日本に北方領土の返還をチラつかせてきたのは、G7を分断する狙いもあった。2年前、ロシアが一方的にクリミア半島を編入したことで、西側諸国は経済制裁を発動。これを分断するために日本を一本釣りしようとしてきた。だが、ここにきて、日本を懐柔する必要性が薄れてきたという。

 “親ロシア”のトランプが次期大統領に就任するからだ。西側のチャンピオンであるアメリカが親ロシアになれば、日本にリップサービスをする必要はなくなる。何しろ、トランプは来年1月の訪ロを熱望しているほどだ。

 外交評論家の小山貴氏が言う。

「プーチン大統領は日本の経済協力を取りつけるために訪日する予定ですが、もし本当にトランプ氏と良好な関係を築くことができると判断すれば、日本を本気で相手にしなくなるでしょう。G7の経済制裁が解除される可能性があるからです。そうなったら、来日したとしても、北方領土問題の進展は望めないと思います」

 大体、本気で日ロ交渉を進展させる気があるなら、ウリュカエフ経済発展相の刑事訴追を延期したはずだ。

 日本側交渉窓口の世耕弘成・ロシア経済分野協力相は「この間会ったばかりで大変驚いている」と寝ぼけたことを言っていたが、一体、汚職大臣とどんな交渉をしていたのか。プーチンの訪日が頓挫したら責任を問われそうだ。

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