【韓国】反朴政権集会 「受験の努力、無駄」…若者の失望感頂点


毎日新聞 11/19(土) 21:36配信

 19日で4週連続となった、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣を求める集会は、過去3回のように野党の支持基盤である労働組合や市民団体だけでなく高校生ら若者の姿が目立った。幼いころから激しい受験競争に追われてきた若者にとって、何の公的肩書もない一人の民間人女性にすべて委ねていたかのような朴氏の国政運営に、怒りと絶望感が漂っているためだ。【ソウル大貫智子】

 ただ、朴氏の父親の朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領を知る高齢者を中心に朴氏への根強い支持もあり、19日は朴氏が疑惑の一部を認めて謝罪した10月25日以降初めて朴氏擁護の大規模な集会も開かれた。韓国国内の混乱は世代間対立の様相を見せ始めている。

 19日午後6時過ぎ、ソウルの地下鉄5号線、西大門(ソデムン)駅は、制服姿の男子高校生や、「朴槿恵退陣」と書いたプラカードを掲げる若い女性らでごった返していた。人波は、朴氏退陣を求める集会会場がある約1キロ先の光化門(クァンファムン)に向かっていた。

 「この国は根から腐っている」。ソウルの漢陽(ハンヤン)大4年、琴慧智(ク・ムヘジ)さん(23)は12日に続き、2週連続で集会に参加した。本格的な就職活動を前に、国政介入疑惑に受けた衝撃は大きかったという。

 小学2年から英語塾に通い、中学時代は最上位の成績。高校時代はストップウオッチで友人と勉強時間を競い合い、1日14時間机に向かった。「良い大学に入れば良い将来が待っている」と信じていた。だが、アルバイトを経験した有名企業が、疑惑の中心人物、崔順実(チェ・スンシル)容疑者一家と深い縁があるとの疑惑が報道され、失望感と強い怒りがわき上がった。自分は一体何のために努力してきたのか--。「脱力感と闘うためにも、自分ができることをするしかない」と朴氏退陣を訴え、集会に参加することを決めた。

 朴氏が若者の支持を失ったきっかけの一つは、高校生を中心に304人の死者、行方不明者を出した2014年の客船セウォル号沈没事故だった。弘益(ホンイク)大4年の金揆林(キム・ギュリム)さん(22)は今も事故のことを思うと、なぜ一人でも多くの命が救えなかったのかと重い気持ちになる。「朴政権の対応には疑問を持っていたが、ここまで青瓦台が機能していなかったとは……」とため息をついた。

 一方、ソウル駅前では高齢者を中心とした朴氏の支持者が「下野反対!」と気勢を上げた。メディアの行き過ぎた報道を批判する「扇動メディアは退出しろ」とのスローガンも。南東部・慶尚南道(キョンサンナムド)晋州(チンジュ)から来たチェ・ジンスンさん(68)は「朴正熙大統領の時からずっと(朴家を)支持してきた。朴槿恵大統領はより愛している」と涙ながらに語った。両親を銃弾で失った朴氏への同情心は強い。

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