【韓国】現実離れした大韓乗馬協会「第2のキム・ヨナ」計画[11/20]


 大韓乗馬協会の「中長期ロードマップ」は崔順実(チェ・スンシル)容疑者の娘ユラ氏を後押しするために作成されたとみられているが、その中に特に驚くべき内容があった。

 2015年10月に作成されたこの文書の「推進の背景」という項目に「フィギュアスケートのキム・ヨナのような国民的アイドルの誕生を乗馬において積極的にサポートする」と書かれていた。つまりユラ氏を「第2のキム・ヨナ」に仕立て上げるということだ。

 そのため2020年の東京オリンピックまでの4年間に、最大で185億ウォン(約17億円)をサムスン・グループに支援させるとの内容もあった。韓国スポーツ史上、前例のない巨額の支援金だ。サムスンからはすでに崔順実氏とチョン・ユラ氏の会社に35億ウォン(約3億2000万円)が送金されている。

 記者はこの文書を見て「キム・ヨナの名前を出すのか」という不快感を覚えると同時に、11年前の2005年10月、当時中学3年生だったキム・ヨナに初めて会ったときのことを思い出した。

 当時、ジュニアとして将来が期待されていたキム・ヨナは、観客が一人もいない泰陵選手村の室内リンクでただ一人、何度も倒れながら必死で練習に取り組んでいた。インタビューすることで驚いたのは、この少女の殺人的とも言えるスケジュールだ。

 朝8時30分のランニングから始まり、夜12時にリンクでスケート靴を脱ぐまで、練習の予定がいっぱいに詰まっていたのだ。夜眠りにつく時間は深夜2時。これが1年中ずっと続くのだ。フィギュアスケートは感覚的な要素が非常に重要であるため、休みは1年に3-4日しかないという。中学生の少女がこれほど厳しいスケジュールに耐えられるとは到底信じられなかった。

 一方のチョン・ユラ氏はロードマップに書かれていたように「第2のキム・ヨナ」になれただろうか。まず乗馬関係者が首を縦に振らない。オリンピックの準備という建前でドイツにいるユラ氏だが、現場にいる監督やコーチらの話によると、実は練習などほとんどやっていないそうだ。乗馬関係者らは「同じ馬に乗って公平な条件で評価を行った場合、チョン・ユラの実力は韓国国内で10-15位程度」と語る。

 キム・ヨナは中学生の時点ですでに浅田真央と共に「ジュニアの世界2強」と言われていた。しかもオリンピックの乗馬種目は完全に欧州が主導権を握っている。ある乗馬関係者は「オリンピックで韓国が乗馬のメダルを取るよりも、バスケットボールでメダルを取る日の方が早くやって来るだろう」と冗談のように語る。これは選手たちの努力が足りないと言っているのではなく、現実がそうだという話だ。

 ロードマップでチョン・ユラ氏のモデルとなっていたキム・ヨナは、経済的にさほど余裕がなかったため母親と共にスケート靴や衣装の手直しもやっていた。

 一方で同じオリンピックの夢を抱く乗馬の母と娘は、不正な方法でまず資金集めから始めた。乗馬のために金が必要だったのか、あるいは乗馬は手段で金が目的だったのかは分からない。ただ崔順実氏とチョン・ユラ氏の二人の行動が、困難な中で夢を追い求める全てのスポーツ選手に絶望感を抱かせたことだけは間違いない。

 韓国でスポーツをやるには資金力に加え、権力者との個人的な関係まで必要であるなら、自らの才能だけを信じてチャレンジする若い選手たちはどうすればいいのだろうか。

 ただそれでもスポーツには絶対にごまかせない点もある。金と人脈で不正行為に手を染めれば、一時的には成功できるかもしれないが、それによってオリンピックでメダルを獲得することは絶対にできない。韓国の大統領どころか世界の大統領が後押ししても、オリンピックのスコアは勝手に変えられないからだ。

 金メダリストは金ではなく汗と努力によって生み出される。これは10年前も今も変わらないし、今後も絶対に変わらないだろう。今回、乗馬の母娘の計画は途中で発覚し、中断を余儀なくされた。最近の甚だしい混乱の中、このことだけはわずかな慰めになっている。

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スポーツ部=キム・ドンソク部長

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