【韓国】「(併合は)朝鮮人が望んだのに、なぜ独立したいというのか」 偏見に満ちた日本人の目から見た三・一運動[11/20]


演劇レビュー「ソウル市民1919」

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 「ソウル市民1919」というタイトルだけを見て劇場に入った観客なら、着物姿の俳優が歩き回るステージを見ていぶかしく思うだろう。しかも「朝鮮人がにこにこ笑いながら大勢歩き回っている」という言葉に「気持ち悪い」というせりふが続く。

 「(併合は)朝鮮人が望んだのに、なぜ独立したいというのか」「朝鮮人は自分のことを決められず、力を合わせて何かをやることもできない」とまで来ると、あぜんとする。

 演劇「ソウル市民1919」(平田オリザ作、李潤沢〈イ・ユンテク〉演出)は、三・一独立運動が起こった1919年3月1日の正午から2時まで、京城(現在のソウル)で暮らしていた中産層(とはいえ当時の基準ではかなりの富裕層)の日本人の家庭が舞台になっている。

 1989年にこの作品を初演した日本の劇作家、平田オリザは「極めて善良に見える日本人の無意識の集合体が、侵略と植民地支配を実現させ、今も日本社会をむしばんでいるということを示したかった」と説明している。

 演出家の李潤沢は「静かな演劇」で有名な平田オリザの原作を、はるかにダイナミックな形で舞台に載せた。20人を超える俳優のせりふと演技は激情的で、対話が途切れた時ですら、声なきわめきが続く。

 表向きは、外で起きている状況を理解できていないようだが、すぐに爆発しそうな緊張感が高まっていく。登場人物は一人、二人と家を出ていってどこかに姿を消すのだが、最初に朝鮮人のメイドたちが退場し、興行のため招いた相撲取りも行方不明になる。

 李潤沢は「植民地体制の下で朝鮮人のアイデンティティーを隠そうとしていた人々が、決定的な瞬間に素顔を表す様子を見せたかった」と語った。

 この作品は、成均館大学前に広がる明倫洞の住宅街にある家を改造して作った、「演戯団コリぺ」の「30スタジオ」オープン記念作。2階に上がる階段も舞台装置として活用した。

 最後の場面で、オルガンで演奏される当時の日本の流行歌「東京節」は衝撃的だ。メロディーが「独立軍歌」と全く同じだからだ。両者はいずれも、米国の軍歌「ジョージア行進曲」が元になった歌。同一の事件を反対側の視点で眺め、観客を当惑させるこの演劇全体を象徴しているかのようだった。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者

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