【サッカー】<日本代表MF清武弘嗣(セビージャ)>「自炊パエリア毎日はキツイ」


今月の日本代表戦2試合で計2得点2アシストし、日本の主役になりつつあるMF清武弘嗣(27)が、このほどスペインで取材に応じ、今季移籍したセビリアでの挑戦の日々を語った。

欧州リーグ3連覇の強豪ではリーグ戦7試合連続不出場と苦戦しているが「バルセロナやRマドリード級」という競争環境で進化。
日本代表では「香川の代役」から卒業し、トップ下の先発に定着する勢いだ。2年後のW杯ロシア大会のエース候補を現地で直撃した。清武のセビリアは今日19日にデポルティボとアウェーで対戦する。

過渡期にある日本代表の歯車が、この男を中心に回り始めている。清武弘嗣。11日のオマーン戦で1得点2アシスト、15日のW杯アジア最終予選サウジアラビア戦で先制PKを決めた。
2試合ともトップ下で先発し、香川の“聖域”に割って入るが「全員で戦っているので、選択肢が増えたと思ってもらえれば。いい突き上げはしたいけど、誰が出ようがW杯に行くことが大事。
最近そう考えるようになった」。12日に27歳の誕生日を迎え、チーム全体を思う発言が増えてきた。

闘牛の本場、スペイン南部アンダルシア。世界遺産の大聖堂がそびえるセビリアで、清武は欧州5年目を迎えた。代表合流前の6日バルセロナ戦。
出番はなくメッシに1得点1アシストされて逆転負け。「あれは人間じゃないでしょ」と苦笑いしたが、高次元のプレーを目に焼きつけていた。

リーグ戦は開幕から3カ月がたつ。8月のエスパニョール戦で日本人初の開幕戦ゴールを決めるも、その10日後にマンチェスターCから元フランス代表ナスリが加入。
クラブではポジションを失った。9月17日のエイバル戦を最後に、リーグ7戦連続不出場。壁は高いが「日本代表で主力になるため」覚悟の上だった。

ドイツ2部に降格したハノーバーから、欧州リーグ3連覇中の強豪へ。足元の技術が高く、中盤の司令塔だと思った選手がセンターバックで驚かされたり
「想像を超えていた。バルセロナやRマドリードと同じくらいのレベルの高さだと思っている。試合には出たいけど、ここで練習し、もまれた方が強くなる。プラスになるという考え方もある」。今冬の移籍が取りざたされても清武の目は輝く。

ピッチ外も奮闘中だ。チリ人のサンパオリ監督も話すスペイン語は「まだ、ほとんど分からない。ドイツと違って英語も通じないし」。ドイツ時代にいた通訳はスペインで不在。
ミーティングはスタッフに英訳を頼んで理解に努め、自宅ではインターネット電話スカイプで1回90分、週2回、日本人講師に学んでいる。

食事は単身赴任のため自炊する。10月まで日本からの直航便が18年間なかった国の地方都市には、日本の食材が売っていない。
「スーパーで鶏肉と野菜を買って焼いて。パエリア、おいしいけど食べ続けられるものじゃない」。ハノーバー時代は同僚の酒井宏、山口と鍋を囲めたが「こっちでは1人鍋。むなしく」と笑
現地に日本代表は1人だけ。だが、逃げ場のない環境も望んだものだった。

ハリルホジッチ監督の信頼度が高まる代表では「あの試合に懸けていた」というサウジアラビア戦で出色の動きを見せた。本田、香川、岡崎が先発から外れた日本の、世代交代の象徴になりつつある。
クラブでは代表参加による勤続疲労が立場を難しくするが、次の代表戦は3月。4カ月間は専念できる。今日19日のデポルティボ戦からリーグが再開。
サンパオリ監督からも「このまま伸びてくれれば。あとは時間が解決する」と期待される清武が、代表で放った輝きをスペインでも証明する。【木下淳】

 ◆清武弘嗣(きよたけ・ひろし)1989年(平元)11月12日、大分市生まれ。08年に大分ユースからトップ昇格。J2降格した09年末にC大阪、12年夏にドイツ1部ニュルンベルク、
14年夏に同ハノーバーへ移籍。セビリアでは今季リーグ3試合1得点。今月2日のディナモ・ザグレブ戦で欧州チャンピオンズリーグに初出場した。
日本代表は11年8月10日の韓国戦でデビュー。国際Aマッチ通算42試合5得点。12年ロンドン五輪4位。172センチ、68キロ。利き足右。血液型O。家族は夫人と1男。弟の功暉(25)はJ2熊本MF。

日刊スポーツ 11/19(土) 9:50配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161119-01740030-nksports-socc

写真
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