【バドミントン】賭博のバド桃田、復帰の行方は?早期の処分解除には慎重論も


 違法カジノ店での賭博問題に関与していたバドミントン男子の桃田賢斗(22)=NTT東日本=が復帰への第一歩を踏み出した。12日に熊本市内で行われた熊本地震復興イベントに参加し、4月に日本協会から無期限の試合出場停止処分を受けてから初めて報道陣の前に姿を現した。

 ただ、今回は本人への取材機会が設けられず、4月の謝罪会見以来の肉声を聞くことはできず。所属先から「イベントの手伝いをし、子どもたちと触れあうことで、熊本を元気づけられて大変うれしく思います。信頼の回復に向け、今後も積極的に社会貢献活動へ参加するとともに、より一層、真摯な態度で練習に励みたいと思います」とコメントが出たのみだった。

 日本協会の処分解除に向けては、反省した態度が認められるかどうかが問われる。今回のイベントでは、地元の小中学生にバドミントンの実技指導をしたほか、自ら会場設営を行ったり、得点係を務めるなど、奉仕の姿勢が目立った。もちろんこれらをもって“更正”したと取るのは早計だが、問題発覚以前からの変化も感じた。

 ひとつは桃田の体の締まりだった。以前は走るのが嫌いで、野菜嫌いの偏食家。一時期はぽっちゃりとした印象すらあったが、昨夏の世界選手権頃からは食事を改善し、肉体改造にも取り組んでいた。今回、約半年ぶりに見たシルエットからは、騒動前よりもさらにスリムになった印象を受けた。対外試合を行えず、復帰時期がわからない中でも、目標を失わずに練習に取り組んでいることが見受けられる。

 NTT東日本の須賀隆弘監督は「桃田は迷惑を掛けたことを痛感して、深く反省している。バドミントンをさせていただくありがたさが初めてわかったらしい。今は誰よりもひたむきに練習に取り組んでいる」と近況を説明した。

 今回のイベント中、関係者に深々と会釈する場面も見受けられた。桃田は現在、午前はNTT東日本本社(東京・新宿区)に出社し、総務人事部の福利厚生に関わる業務に従事している。自ら積極的に電話応対をするなど、社会人としての礼儀や常識を勉強中で、今回視察した日本協会の銭谷欽治専務理事も「関係者への会釈との仕方なんかを見ると、今までになかったこと」と成長ぶりを認めていた。

 処分解除に向けて光が見えてきた。銭谷専務理事は「前向きに考える」と明言。「リオ五輪に出られず、かなりの社会的制裁を受けたと認識してる。ボランティア活動だったり、精神的な成長からも判断する」。その一方で、「事の重大さも認識している。みなさんの税金をいただいて強化をしているので、(世論などの)状況を見極めながら」と、早期の処分解除には慎重な姿勢も示した。「ちゃんとしかるべき時に理事会で皆さんと話し合い、期間決定の場を設けたい」と年明け以降に検討する意向を示した。

 では、解除の時期はいつ頃になりそうか。20年東京五輪に出場するには、その直前までの1年間の国際大会に出場し、ポイントを稼ぐ必要がある。時期を逆算すれば、18年シーズンに再び日本代表に返り咲かなければ厳しくなるため、その選考基準となる来年12月頃開催予定の全日本総合選手権までに処分が解除されなければ、東京五輪への道は険しくなる。

 銭谷専務理事は「日本のスポーツ界のためにも逸材を成長させる義務がある」と桃田への期待を込め、「ちゃんとしかるべき時に理事会で皆さんと話し合い、(処分)期間決定の場を設けたい」と、来年の年明け以降に検討する意向を示した。同僚の古賀輝の処分期間(1年間)が来年4月までということから、それより早まることは考えにくい。そのことからも、来夏頃の処分解除が予想される。

 気になるのは、桃田自身の20年東京五輪への思いが以前と変わらないのかという点だが、NTT東日本の須賀隆弘監督は「言葉では聞いていないが、練習への取り組み方や姿勢、普段の生活態度を見ていれば、それ(東京五輪への意欲)は肌で感じる」とうなずいた。

 -とここまでは、久々に動く桃田を見て、関係者の話を総合した上での担当記者の推測に過ぎない。あらためて本人の口から、問題をどう反省し、どう次に進もうとしているのか語られる日が待たれる。(デイリースポーツ・藤川資野)

デイリースポーツ 11/19(土) 14:00配信
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