【文芸】<できるかなのノッポさん>この時代に思うこと...「人と人との関わりがなくなっている気がしている」


NHK教育テレビの工作番組『できるかな』が終了して今年で26年。独特のキノコ帽子と軽快なタップダンスで今の30~50代世代を魅了したあの“ノッポさん”こと高見のっぽ氏(82)が、今だから語る「この時代に思うこと」。

 子どものことを「小さい人」と呼び、常に子どもにも大人にも敬意を持って接してきたノッポさん。11月17日に自身の人生哲学を盛り込んだエッセイ『ノッポさんの「小さい人」となかよくできるかな?―ノッポ流 人生の極意―』を上梓。原稿を書き上げたばかりのノッポさんに、同書に込めたメッセージや背景を尋ねてみた。

――どんな想いを込めてこの本を書きましたか?

 この頃、人と人との関わりがなくなっている気がしているんです。「個」が強くなってきているんですね。それじゃあ少ぉし寂しいです。自分が他の人間を好きになれば、他の人間も自分を好きになってくれますよ。

 人は一人では生きられないんですから。この本では、人との関わりを大切にしてもらいたいという願いを込めて書きました。みんなが仲良くなるのはなかなか難しいことです。

 例えば自分が55なら、相手に45あげる。60だったら40あげる。そんな思いやりが大切だと思います。自分がちょっと多くたっていいんです。人間ですから(笑)。

――ノッポさんが子どもを「小さい人」と呼ぶようになったのはいつからなのですか?

 もう最初からおチビさんのことは「小さい人」と思っていました。大人に従う子供だなんて、思っちゃいません。『できるかな』の頃よりも、ずうっと前からそう思っていました。

 子ども時代には大人との相克ってありますよね。私は自分自身の記憶を顧みるに、当時の自分は何ひとつ間違っていなかったって、82歳になった今でも思うんです。あの時の感性や感情は今でも変わりはありません。

「小さい人」は賢いですよ。私は常に敬意を持っておチビさんと向き合いますから、すぐに友達になれるんです。もちろん丁寧な言葉も使います。「おそれいります」、「お名前はなんと仰るんですか?」なんて。これはもう私にとってごく当たり前なことなんです。

――今の「小さい人」と昔の「小さい人」、何か変化はありますか?

 そりゃあ大違いです。これは大人が悪いですねぇ。エゴイスティックで自分のことしか考えられない人が多くなりました。礼儀、思いやり、社会のルールなど、大人はそういったことを「小さい人」にしっかり教えないといけませんね。隣近所のつき合いもなくなりましたしね。コミュニケーションもなくなっているでしょう。「小さい人」はいつでも親の振る舞いを見ているんです。しっかりとね。

――大きくなった元「小さい人」へ何かメッセージはありますか?

 本を読んでくれて、そこから何かを感じ取ってもらえたら……(笑)、というのはともかく、メッセージをたくさん盛り込みましたよ。

 ところで最近、40代、50代の方、おじさま、おばさま方が、とてもよく私にご挨拶をしてくれるようになったんです。道を歩いていたり、駅の構内だったり、レストランだったり、お蕎麦屋さんだったり、本当にいろんなところで。

つづく
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161118-00000004-pseven-ent&p=1