【ラグビー】W杯、花園で日本戦見られない? 収容人数基準満たさず、大阪府は“特例”開催働きかけ


 2019(平成31)年に日本で開かれるラグビーワールドカップ(W杯)で東大阪市花園ラグビー場(大阪府)など関西2会場で日本戦や強豪同士の試合が行われない可能性が浮上している。収容人数が基準に満たないためだという。日本戦がたびたび行われてきた建て替え中の国立競技場、秩父宮ラグビー場(いずれも東京)はW杯会場ではなく、このままでは、国内ラグビーの聖地で日本戦が実施されないことになり、関係者は苦慮している。

■4万人以上目安

 W杯は、国内の12都市が舞台となり、関西では花園ラグビー場と神戸市御崎公園球技場(神戸市兵庫区)の2会場が選出。来年5月の組み合わせ抽選後に、W杯を運営するラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)がどの試合をどこで行うかを決定する。

 RWCLはこれまでに組織委に対し「総合的に会場を決める」などと説明しているが、組織委によると、対戦カードの割り振りには、会場の収容人数に関する目安があるという。それによると、収容人数が4万人以上の会場では、ニュージーランド(NZ)などの強豪国同士の試合と開催国の日本戦の開催が可能。4万人未満の会場は、2万人以上が強豪と格が下のチームの対戦、1万5千人以上では格下同士と区分けされている。

 花園は来春から改修に入り、収容人数は現行の6千人減の約2万4千人。神戸市御崎公園球技場も約3万人で改修の予定はない。2011年のNZ大会では、地元NZ代表が4万人に満たない会場で試合を行った例もあるが、このままでは花園、神戸の両会場とも、日本代表戦などの好カードが組まれる可能性は低い。

 ■日本の聖地が…

 19年W杯では、日本戦がたびたび行われている国立競技場は翌年の東京五輪に向けた建て替えで会場から外れ、東京・秩父宮ラグビー場は会場に選出されなかった。花園での開催が実現しなければ日本ラグビーの聖地で一切、日本戦が組まれないことになる。

 花園をめぐっては、現地視察したRWCLの指摘で、照明の位置変更などの追加工事の必要が生じ、一時約30億円の費用不足に陥った。東大阪市はtoto(スポーツ振興くじ)の助成金制度を活用し、国の交付金約17・4億円を得るなどして財源確保にめどをつけた経緯がある。

 再び訪れた“苦難”に対し、関係者の苦慮は続く。大阪府の松井一郎知事が11月、府庁を訪問した組織委メンバーに「花園で日本戦を」と直接要望。また国会議員で構成する「国会ラグビークラブ」の関係者らも、NZなど各国の大使館を訪れ、花園での日本戦開催をアピールしているという。


2016.11.19 07:09
http://www.sankei.com/west/news/161119/wst1611190018-n1.html