【サッカー】静岡県東部初のJリーグクラブ(上)地域活性化の“起爆剤” J3アスルクラロ沼津


 J3参入を懸けて臨んだ13日の日本フットボールリーグ(JFL)第2ステージ最終節。貴重な先制点を挙げた直後、アスルクラロ沼津の選手を沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場に集まったサポーターが応援歌の大合唱で後押しした。大人のサポーターに交ざり、あふれんばかりの子供たちの声援もスタジアムに響いた。
 勝利を収めた沼津イレブンに下部組織アスルクラロ沼津U-15に所属する北野明暉さん(13)は「誇りに思う」と熱いまなざしを向けた。
 県中西部に比べ、サッカーの強豪校が少ない県東部。優秀な選手がほかの地域や県外に流出する現状にはがゆさを感じていた地元サッカー界は沼津のJ3入りを心待ちにしていた。「子供たちの夢や目標となる存在が身近に誕生した」と県サッカー協会東部支部の坂根英夫会長(69)は目を細めた。飛龍高サッカー部の菊川達也監督(38)は「より高いレベルの試合を観戦できるようになる。子供にとっては大きな刺激。東部のサッカーの底上げにつながる」と期待する。
 地域活性化の“起爆剤”との期待が地元の経済界では高まってきている。県東部の行政や商工団体などでつくる県東部地域スポーツ産業振興協議会(E-Spo、三島市)は10月、沼津のホーム戦に合わせた「スポーツバル」を県東部45の飲食店で始めた。同協議会事務局の大古田健次次長(63)は「スポーツにはまちを活気づける潜在力がある。(J3参入を)にぎわい創出につなげたい」と話す。
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 アスルクラロ沼津が来季、J3に参入する。県東部のサッカー振興や地域活性化に寄せる地元の期待は大きい。一方、クラブ運営の強化や行政による支援など課題も浮上している。県東部初のJリーグクラブとして、歩み始める沼津の現状と課題に迫った。

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