【米国】論功行賞で「トランプ路線」支持の強硬派3人を登用、現実路線への転換見えず…批判派とも会談・トランプ次期米大統領


ドナルド・トランプ次期米大統領=10月31日、ミシガン州(AFP=時事)
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テッド・クルーズ米上院議員=18日、ワシントン(EPA=時事)
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 【ワシントン時事】トランプ次期米大統領は18日、ジェフ・セッションズ上院議員(69)を司法長官に充てるなど、3人の新政権人事を発表した。閣僚級のポストが決まったのは初めて。3人とも「トランプ路線」を支持してきた強硬派で、論功行賞の色彩が強く、現実路線への転換を期待する民主党などからは落胆の声も出ている。

 「人種差別を許すことはできない。トランプ氏が偏狭な考えを捨て、決定を覆すよう求める」。民主党リベラル派の代表格であるウォーレン上院議員は18日、セッションズ氏を司法長官に据える人事案が伝わると、声明を発表。応じなければ、上院で否決を目指すとけん制した。

 セッションズ氏は、上院議員の中で真っ先にトランプ氏支持を明確にした人物だ。米メディアによれば、1986年、レーガン大統領(当時)から連邦判事に指名された際の上院審議で、人種差別主義者だと指摘する証言が続出。人事案が否決され、就任できなかった過去がある。

 中央情報局(CIA)長官に指名されたマイク・ポンペオ下院議員(52)は、共和党主流派と反目してきた「ティーパーティー(茶会)」派。国家安全保障担当大統領補佐官に任命されるマイケル・フリン元国防情報局長官(57)は、イスラム教を敵視するような発言などで物議を醸してきた。

 先に首席戦略官・上級顧問に決まったスティーブン・バノン氏(62)も「白人至上主義者」と批判を浴びている。これまでに固まった新政権の陣容は、大統領首席補佐官に就くラインス・プリーバス共和党全国委員長(44)を除いて「トランプ氏と強硬論を共有する忠実な支持者」(米メディア)ばかりだ。同様の人事が続けば、選挙戦でのトランプ氏の訴え通り、移民やイスラム教徒などマイノリティーに厳しい政権になる可能性が高い。

 もっとも、トランプ氏が自身に批判的な党主流派やライバルを登用し、厚みのある政権をつくろうとしている兆しがないわけではない。

 トランプ氏は15日、共和党の大統領選候補指名争いで激しくののしり合ったテッド・クルーズ上院議員と会談。17日にも反トランプを鮮明にしてきたニッキ・ヘイリー・サウスカロライナ州知事と会った。19日には「トランプ降ろし」を主導した2012年大統領選の共和党候補、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事と面会する。 

 米メディアの間では3人の閣僚起用も取り沙汰されるが、批判を受けるたびに強烈な反撃を加えてきたトランプ氏が、そうした人事に踏み切ることはあるのか。新政権の先行きを占う決断に、注目が集まっている。(2016/11/19-16:22)

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