【滋賀】ビワマス戻れ、魚道設置 野洲市のNPOなど産卵床で稚魚確認[11/20]


琵琶湖の固有種、ビワマスが遡上(そじょう)しやすい川の復活に取り組んでいる滋賀県野洲市のNPO法人などがこのほど、
同市の中ノ池川に木枠を8段積んだ全長9メートルの大きな魚道を完成させた。
昨年は手作りの産卵床を同川などの4カ所に初めて設け、春には稚魚も確認されている。
関係者は「市中心地のJR野洲駅前の妓王井川までビワマスを遡上させたい」と期待している。

取り組んでいるのは、NPO法人「家棟(やなむね)川流域観光船」や滋賀県、市、地元自治会などでつくるプロジェクトチーム。
野洲市東部を流れる家棟川へ約60年前に産卵のために上っていたビワマスを復活させようと、
2014年に大学教授などを交えて調査し、15年8月から本格活動している。

中ノ池川は家棟川の支流で、高さ3・2メートルの落差工と呼ばれる斜面が遡上を遮っているため、魚道の設置を検討。
幅約40センチ、長さ約1メートルの木板で四角い枠を作り、側面に補強するパイプを取り付けた。

ビワマスの魚道は大津、米原市内にもあるが高さ1~2メートルの落差工に設けられており、野洲の魚道は最も大きい。
活動に参加する住民や市担当者は毎日遡上を調査し、これまでに3段まで上ったところを確認。
「雨で水量が増えれば8段を上って上流まで遡上できる」という。

産卵床は中ノ池川と、同じ家棟川支流の童子川で、川底を平らにし、砂利を敷いて作った。
今年3月上旬に両川とも産卵床付近で稚魚が計3匹発見された。
チームに参加する県琵琶湖環境科学研究センターの佐藤祐一主任研究員(38)によると、
ビワマスの産卵床を手作りしたのは初の試みといい、今年はさらに6カ所に増やした。

今後、調査結果を踏まえて魚道の形を変えたり、段数を増やしたりと改良を加える予定だ。
チーム代表の山本義昭さん(72)=野洲市冨波乙=は
「強い水流でも耐えられる魚道ができ、一歩ずつ前進している」と手応えを話す。

12月10日午後1時半から、チームの活動報告会が野洲市辻町の市民活動支援センターで開かれる。
ビワマスの炊き込みご飯「あめのいおご飯」の試食会もある。
無料。
定員100人。

写真:上=高さ3メートルを超える落差工に完成した魚道(右側)。下=野洲市の童子川に設置した産卵床付近で見つかったビワマスの稚魚
http://www.kyoto-np.co.jp/picture/2016/11/20161120140714yasugawa060.jpg

以下ソース:京都新聞 2016年11月20日 13時00分
http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20161120000044