【朝鮮日報】韓国を決してあざ笑うことはできないという声が中国の知識人社会のあちこちから聞こえる[11/20]


 中国中央テレビのニュースチャンネル「CCTV13」は、韓国の「崔順実事件」を「好友干政」と呼ぶ。「親友が国政に口を挟んだ」という意味だ。全世界が米大統領選の開票状況を刻々と伝えていた9日にもCCTV13のメーンニュースは崔順実事件だった。

 ソウル光化門でのデモの様子や「文化界の皇太子」チャ・ウンテク氏の帰国、サムスングループの家宅捜索などを何度も繰り返し放映した。それに比べ、米大統領選のニュースは短信程度の扱いだったと言っても過言ではない。

 ニュースバリューの判断は共産党の宣伝部が行う。世界最強の米国を誰が率いるかよりも崔順実事件が重要なのかと思わせるような扱いだった。そのせいだろうか、ある在住韓国人の主婦はディスカウントストアの従業員から「おたくの国の大統領って誰かの秘書なのか」と皮肉られ憤慨したという。

 中国のネットユーザーは朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を当初「大姐」(年上の女性に対する敬称)と呼ばれていたが、次第に「大媽」(おばさん)、「バカ」へと格下げされた。

 実はそんなあざけりだけではない。「韓国を見直した」という肯定的な見方もあるのだ。

 中国のある中堅ジャーナリストは「崔順実事件は決して笑い事ばかりではない。崔順実事件の報道を見ていると、中国にはないものが見える。疑惑を暴くメディア、権力にメスを入れる検察、大統領の退陣を要求して行われる整然としたデモだ。韓国を決してあざ笑うことはできないという声が中国の知識人社会のあちこちから聞こえる」と語った。

 韓国をあざ笑うことに忙しい中国の一般市民とは異なり、知識人は崔順実事件に韓国の市民社会に内在する優れた点を発見した。しかし、それが韓国人にとって慰めになるわけではない。我々は中国知識人が発しない厳しい質問を自分たちに投げかける必要がある。

 「なぜ韓国メディアは崔順実グループの仕業をもっと早く察知できなかったのか」

 「なぜ韓国の検察は権力から独立できなかったのか」

 「広場では一流市民の韓国人が個々の立場ではなぜ不正と癒着にブレーキをかける良心的な内部告発者になれないのか」

 先週末光化門はろうそくを手にした市民で埋め尽くされた。1987年に大統領の直接選挙制を求めて起きた「6月抗争」で通りを埋めた人々が今回は子ども連れで再び街頭に立った。彼らの怒りが世論を裏切った大統領の去就を決定できるのだろうか。

 どんな結果が出るにせよ、韓国人それぞれは3つの質問の答えを探さなければならない。

 崔順実グループに対する沈黙のカルテルがどのように形成され、それが韓国社会の監視、批判、内部告発機能をどうやって長期にわたりまひさせたのかを解明しなければならない。根本的で骨身にしみる反省とその後の変化を通じ換骨奪胎しなければならない。

 さもないと、30年後に再び光化門でろうそくを手にしなければならなくなるかもしれない。

 崔順実事件は起きないに越したことはなかった。しかし、こうなった以上は韓国人一人ひとりが民主的価値に忠実な市民になり、よりよい民主的システムを構築する契機とすべきだ。それが崩壊した国の品格を早期に立て直す道だからだ。

http://www.chosunonline.com/site/data/img_dir/2016/11/18/2016111801235_0.jpg
北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/11/18/2016111801317.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/11/18/2016111801317_2.html